苦みやコクが強く、しっかりした味わいのコーヒーらしいコーヒーが飲みたいといったときは深煎りコーヒーを選ぶ方が多いかもしれません。
深煎りならではの重厚な味わいを感じつつゆっくりと過ごしたり、甘いものと一緒に楽しむには最高の組み合わせだと思います。
しかし、深煎りコーヒーは苦みや雑味が出過ぎてしまい苦手な方や、深煎りの豆を買ったはずなのになぜか冷めたら酸っぱく感じたりなど、まずいという印象を持っている方もいるのではないかと思います。
今回はそのようなまずいと思う味わいの原因や、美味しく淹れる方法などを詳しく解説していきます。
深煎りコーヒーとは?
コーヒー生豆はもともと薄緑がかった色をしており、焙煎の加熱によって化学変化が起きていく過程で茶色い見慣れたコーヒー豆になっていきます。
もし生豆の状態で珈琲を入れたとしても青臭くコーヒーらしい香りや味を楽しむことはできません
コーヒーは焙煎深度といって、焙煎時間や加熱の加減で「浅煎り、中煎り、深煎り」と区別されるのですが、深煎りは長めに焙煎していて、豆の色が黒く、表面に油が浮かびテカテカした見た目の豆のコーヒーのことを指します。
浅煎りに比べて酸味がおちついて、苦みやコクをが強くまろやかな味わいになります。
深煎りの苦み、酸味、コクについて
コーヒー豆は元々「酸」を持っていてそれが個性豊かな味わいを作り出しています。
酸が焙煎の過程で苦みやコクに変わっていき味わいが変化していくことで、普段みなさんが飲むコーヒーになっていきます。
深煎りのコーヒーでは焙煎がかなり進むため、豆が持っている酸がほとんど苦みやコクに変わります。
深煎りでは酸味はほとんどなく、苦みとコクが豊かな味わいを感じることができます。
また、コーヒー豆は焙煎していくと中に炭酸ガスが発生するので、深煎りになればなるほど焙煎直後はお湯と粉が触れたときに泡がたくさん出ます。
この泡は多すぎると抽出時(特にペーパードリップでは)にお湯と粉が触れるのを阻害して抽出の際に十分成分を引き出すことができないこともあります。
焙煎から時間がたつにつれ、豆の中のガスが抜けていき泡の発生が弱まるのでしっかりとコーヒーの成分を抽出できますが、時間がたちすぎると酸化が始まってしまったり、香りが抜け始めてしまいます。
深煎りのコーヒーの飲み頃は焙煎による豆の風味が安定する焙煎3日後からガスが落ち着き、酸化の始まりと香りが抜け始める14日後くらいです。
深煎りの豆の風味のピークは7日~10日前後になることが多いです。
深煎りコーヒーがまずいと感じる理由
深煎りコーヒーがまずいと感じる主な理由は以下の5つです。
- 苦味が苦手: 深煎りコーヒーは苦味が強いため、苦味が苦手な人はまずいと感じてしまう可能性があります。
- 淹れ方が間違っている: 深煎りコーヒーは、浅煎りコーヒーよりも淹れ方にコツが必要です。淹れ方が間違っていると、雑味が出てしまい、まずいと感じてしまう可能性があります。
豆を粗めに挽くことと、抽出時間をながくしすぎないことがポイントです。詳しい淹れ方は後程解説します。 - 豆の鮮度が適切でない: コーヒー豆は鮮度が大きく味わいにかかわってきます。鮮度が落ちた豆で淹れたコーヒーは、酸化によって味や香りが劣化し、まずいと感じてしまう可能性があります。逆に焙煎直後はガスが抜けておらず抽出がうまくいかない場合もあります。深煎りか浅煎りかで変化はありますが、焙煎日から3日~14日くらいが飲み頃の鮮度でしょう。
- 酸化してしまって酸っぱい:深煎りコーヒーは本来は焙煎の進行によって酸味が少なく苦みやコクが強くなるのが特徴ですが、焙煎から日が経ってしまっていてコーヒー豆の表面の油が酸化してしまい苦みはあるのに酸っぱくなってしまいます。酸化したコーヒーは冷めたときにコーヒー豆の持つフルーティーな酸味ではなく、嫌なとがった酸味を感じます。
俗にいう「コーヒーは冷めるとおいしくない」は酸化した豆が原因だと思われます。 - 豆の質がよくない:コーヒー豆には欠点豆と呼ばれる、カビた豆、未成熟の豆、欠けた豆などよくない豆が混入しています。質の良くない豆やハンドピックと呼ばれるこれらの豆を取り除く行為をやっていないお店はこれらの欠点豆が入っており
深煎りコーヒーを美味しく淹れるコツ
深煎りコーヒーを美味しく淹れるためには、以下の点に注意しましょう。
- 豆の鮮度: 深煎りは鮮度の高い豆を選ぶことが重要です。できれば焙煎してから2週間以内の豆を使いましょう。
- 挽き目: 深煎りコーヒーは、浅煎りコーヒーより味の成分が多く出ます。過抽出を防いで雑味を抑えるために粗めに挽きましょう。
- お湯の温度: 深煎りの豆は高温のお湯で淹れると苦みが強く出過ぎてしまうため、少し低めの83~86℃くらいのお湯を使いましょう。
- 抽出時間: 深煎りは抽出時間を長くすると苦みや雑味が多く出てしまうので、2~3分以内を目安に抽出しましょう。
おすすめ深煎りハンドドリップ抽出レシピ一杯分
- 粉(中粗挽き)15g
- お湯85℃ 225㎖
- 蒸らし25㎖ 30秒
- 蒸らし30㎖1回、コーヒードームを崩さないように中心にゆっくり50㎖を20秒毎に4回に分けて注湯
- 2分注ぎ切り2分30秒落ち切りを目安
レシピの狙い
お湯の温度は深煎りなので過抽出にならないように低めで淹れる。90℃以上にすると苦みの成分が多く抽出されてしまうので80℃台にする。
蒸らし時間は短めに20秒~30秒の間にする。
注湯は粉の中心にゆっくりお湯を乗せるようなイメージでのの字を書きながらコーヒーのドームを崩さないように注ぐ。
抽出時間は短めにして苦みや雑味を出さないようにする。
レシピの調整
苦みが強すぎる
- 挽目を粗くする
- 湯温を下げる
- 抽出時間を短くする
上記の3つを試すことで酸味を抑えることができます。
挽目を粗くすることで苦みの成分が出過ぎるのを抑えることができます。
もし粉を粗くしてコーヒーが薄く感じたら粉の量を増やして調整しましょう。
湯温を高くすればするほど苦みの成分の溶け出す量が多くなります。
湯温を下げると香りはやや出ずらくなりますが、マイルドな味わいになります。
雑味が出過ぎる
- 挽目を粗くする
- 湯温を下げる
- 抽出時間を短くする
- コーヒードームの中心のみに注ぐ
基本的には苦みと同じ調整方法です。
雑味の成分は苦みよりさらに後に溶け出すので微調整することでおいしい苦みは残しつつ、雑味を減らすことができます。
また、コーヒードームを崩さないように粉の中心にのの字を書くようにお湯を注ぐことで雑味をあまり落とさないで入れる事ができます。
酸味を感じる
- 挽目を細かくする
- お湯の温度を上げる
- 抽出時間を延ばす
基本的に深煎りコーヒーで酸味を強く感じる場合は豆が酸化してしまっているので、鮮度の良い豆を買って飲むのが一番ですが、多少の酸味のごまかし方のテクニックをお伝えします。
基本的には、湯温を上げたり、抽出時間を延ばしたり、粉を細かくしてみて苦みを多く抽出することで全体の味の酸味の量の比率を抑えて酸味を感じにくくします。
しかし、これらをすると前述のとおり苦みや雑味が強く出ることが多いので注意してください。
また、人間は高温では酸味を感じにくいので、温度が下がる前に飲みきってしまいましょう!
まとめ
深煎りコーヒーのまずい原因は
①苦味が苦手
②淹れ方が間違っている
③豆の鮮度が適切でない
④酸化してしまって酸っぱい
⑤豆の質がよくない
の5つが原因であることがほとんどです。
おいしい深煎りのコーヒーとは、香りが豊かでまろやかな苦みとコクを感じることができます。
まずい深煎りコーヒーは、酸化していて冷めると酸っぱかったり、雑味や苦みが強すぎたりします。
深煎りのコーヒーのおすすめの淹れ方は、温度低めで少し粗めに挽いて、蒸らしと抽出時間を少し短めにしましょう。
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